包日記

包kurumiフラワーデザイナー五十嵐のブログ

 花屋になろう思った瞬間のおはなし。

突然ですが、私がなぜ花屋になったのかを語ってみたくなりました。
ちょっと長いけど、興味のある人は読んでみてください。


子供の頃の夢。
お花屋さん。
…じゃありませんでした。
エレクトーンの先生!でしたー(笑)

正直、お花屋さんなんて眼中になかったです。

目覚めたのは社会人デビューしてから。


恋するOLだった頃、大好きな人がホワイトデーにお花屋さんに連れて行ってくれました。
好きな花をプレゼントしてくれる。というのです。
花などプレゼントされた事のない私は「やっほーいっ!何にしようっかなー」と、たくさん並ぶ花を眺めていました。
…と、そこに一人の男性のお客さんが。
事件の始まりです。


「500円の花束を3つ下さい」と言う声が聞こえてきました。
単品売りのその店にはサービス花束なるものなど存在せず、バラ1 本で500円位だったと思います。
そこで登場した、そのお店の社長。
「500円じゃ束になんないよ〜」と言いながらも、おもむろに店の外の花壇を徘徊し、花や葉っぱを伐採し始めました。(もちろん、その花屋さんの花壇ですけど)
自分の花を選ぶより、呆気にとられてボケっとしている私達を見て、接客してくれていた店員さんは「ウチの社長、面白いから時間があったら見て行って下さい」と声をかけてくれました。
もちろん、何が起きるのか興味津々。
素直に、見学決定!ですよ。


花壇の花と単品売りされているお花を組み合わせて、あっという間に2つの可愛いミニブーケが完成。
えー?!これで500円?かわい過ぎるんですけど。


で、ここからまた追い討ちをかけられました。
3つ目を作り始めた時。
社長は「本命用はコレね」と白いバラを1本、花の部分をラッピングペーパーで見えないように包んでしまいました。


「人間は隠してあるものは見たくなるもんだよ。女の子が「何コレ?」とラッピングを取った時
「このバラはティネケっていう品種なんだよ」と、そっと耳元で囁きなさい。
女の子はイチコロだよ」


と女の子の口説き方まで助言しながら、伐採した花と組み合わせて「ハイ!出来上がり〜」


苦笑いしながら男性は帰っていきましたが、目撃した私の中では大変な事が起きていました。
物凄いショーを見てしまいました。
物凄い衝撃を受けてしまいました。


花ってスゴイッ!


あの男性が女の子をイチコロにできたかは不明ですが、私はこの時、花にイチコロになったのは確かでした。
花に目覚めた瞬間。
これは事件以外の何物でもありません。


そして私に作ってもらった花。
「ブルビネラ」という、つくしが巨大化したような黄色の花が気に入ったので、それをメインに作ってもらいました。
今思えば、店員さん大変だっただろうなぁ。
花のことなど何も知らない私が選んだそのブルビネラは、メインになるような花ではないのです。
でも、しっかりとメインになって、見たことのない個性的でステキな花束にしてくれました。
鮮烈な印象だったので、今でも花材、形、ラッピングペーパーまで、はっきり覚えています。


この日の事件から1年半後、私は花屋で働いていました。


たまたま会社の近所だから入った花屋があの花屋さんでした。
たっくさん花屋がある町だったのに、たまたまあの花屋さんでした。
これは運命です。
もう、花屋になるしかないでしょう。


あのお花屋さんには、本当に感謝しています。
私の人生を変えたお花屋さん。
びっくりや感動を与えてくれるお花屋さん。


いつか、絶対そういう花屋さんになってやる!と誓って早十数年。
まだまだだ足元にも及ばないけれど、その意気込みだけは変らない包kurumiなのです。


よーし。がんばるぞ。