包日記

包kurumiフラワーデザイナー五十嵐のブログ

グリーンリリアルプの不思議

1.発色の良い緑色のユリである
2.花粉がない
3.雌しべと雄しべが芸術的

という見どころ満載なユリ「グリーンリリアルプ」
いったい、何がどうなってこんなに不思議な風貌となって咲いたのでしょうね〜


まず「緑色のユリ」という事だけでも珍しいですね。
他のユリでここまで濃厚な緑色は見た事がありません。


ユリである事は認識して使ったのですが、余分な葉を落とす時、テッポウユリの葉を落とす時と同じ匂いがしました。
私はテッポウユリの葉の汁の匂いが苦手なので、葉の処理をする時は息を止めて我慢をしています(^^;)
葉を落とす一瞬だけで収まるものなので・・・
でも、今回は初めて使ったユリと言う事で、油断して露骨にこの匂いを吸ってしまったという訳(笑)


・・・で、後から知ったのですが「グリーンリリアルプ」はテッポウユリの変種なんだそうです。
どうりで・・・
茎や葉っぱは言われてみればテッポウユリですが、何しろ花はあまりにも違う出で立ちです。
テッポウユリの写真がコチラ。


ユリと言えば花びらや手や服に容赦なくくっつく花粉に悩まされます。
ですので、ホワホワの花粉になる前の咲いた瞬間に花粉を取り除いてから使用します。
咲いたばかりの花粉は粉状ではなく固形状態ですので、花びらも手も服も汚さず取れるからです。
でも「グリーンリリアルプ」はご覧の通り、花粉がない!
咲いた状態で出荷されているのですが、生産者さんが一本ずつ取り除いてくれている訳ではなく、最初から花粉が無いんだそうです。


花粉がない=受粉しない=タネができない
という事です。
ユリ類は球根植物なのですが、タネのない「グリーンリリアルプ」は球根からしか増殖できないそうです。
それでは、なんのために花を咲かせるのでしょう?
何か意味があるのだと思うのですが・・・不思議。


・・・という事で、雌しべと雄しべも機能しない不要なものだからでしょうか?
自由で芸術的な形になっています。
これがまた、面白い。
自然とこういった形になるとは、まさに植物の不思議です。


最初この雌しべと雄しべを見た時、品種改良に無理があってこのような不思議な形になったのかと思いました。
でも「グリーンリリアルプ」は「発見された植物」という記述を見て更に驚きました。
もともと、このような姿で自生していたという事です。
先祖はテッポウユリだったのでしょうが、なぜこんな変異が起きたのでしょうね。
全てにおいて不思議で、想像をかきたてる植物です。


ちなみに1枚目の写真は1本です。
個体によって花付きは違いますが、全体に結構ボリュームがあるように感じます。


市場に出回るようになったのは、ごく最近の事。
球根からしか増殖できないとの事もあり、まだまだ希少なユリのようです。


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